dcsvの企業研究

思うところあって、企業研究をしようと考えています。企業理念やビジョン、トップメッセージ等を見ていきます。

野村ホールディングス ミッションステートメント

続いて 少し視点を変えて、証券会社を見てみたいと思います。

それでは証券会社のなかで、トップの野村ホールディングスから見ていきましょう。

 

創業の精神と野村の歴史 | ミッション・ステートメント - 野村グループ

 

ミッションステートメント

名前がミッションステートメントであるのと、箇条書きであるところが 形からして 銀行とは文化の違いを感じます。

1.「投資」を軸に豊かな社会の創造に貢献する
2.変化を尊重し、常識を打破して、成長への挑戦を続ける
3.「顧客ありき」を貫き、常に顧客の揺るぎない信頼を獲得し続ける
4.「野村は一つ」の意識を持って連携し、野村グループの総合力を発揮する
5.多様性とお互いを認め合う精神を尊重する

 

 最初に、あえて『「投資」を軸に』と記載しているところに特徴を感じます。あくまで証券業務を中心にして社会に貢献するということですね。

 

次に「変化を尊重」「常識を打破」「成長への挑戦」とあります。現状維持ではなく、常にチャレンジをするということのようです。

 

また「顧客ありき」を貫くことを強調しています。社内成績の競争ではなく、顧客のことを考えますよということですね。

 

「野村は一つ」というのは、買収したリーマン部隊のことや 今後の買収について言っていそうです。

 

最後に「多様性」「お互いを認め合う精神」に言及しています。単一の文化になることなく、個性で勝負というところでしょうか。

 

 

長期経営ビジョン

以下のページで長期経営ビジョンに言及している部分がありました。

グループCEO永井浩二メッセージ - 野村グループ

新たな成長に向けたアクション

2014年8月、野村グループでは2020年3月期をターゲットとする長期経営ビジョンを策定しました。当社を取り巻く環境はこれまで以上に大きく変化していくと予想されますが、我々は、この変化を絶好の機会(Chance)として捉え、我々自身も果敢に変革(Change)していくという思いを込めて、この二つのCを用いて、「Vision C&C」というスローガンを掲げました。

このビジョンのもとで、(1)国内におけるビジネスモデルの変革と、(2)海外の収益性のさらなる改善、という二つの大きなテーマに取り組み、いかなる環境においても持続的な成長を果たせるよう、各部門において、そのための基盤づくりに取り組んでいます。

 

長期経営ビジョンは「予想される会社を取り巻く環境の大きな変化を絶好の機会(Chance)として捉え、自身も果敢に変革(Change)していく」ということのようです。

つまり、環境変化を当たり前のものとして受け入れて、前向きに会社を変えながら対応していくということだと思います。変動の大きい市場を相手にしている証券会社らしいと感じました。

 

長期経営ビジョンに向けたアクションとして、国内は「ビジネスモデルの変革」をしていくとあり、これは売買手数料を中心としたフローから収益を獲得するビジネスから、預り資産の運用・管理を中心としたストックから収益を獲得するビジネスに変えていくということを言っているのだと思います。他の証券会社も同様ですが、ラップ口座に力を入れているのも その現れかと思います。

また、海外は「収益性のさらなる改善」をしていくとあり、これは リーマンショック時に買収したリーマンの部隊の収益性をあげていくということだと思います。

 

 あと、同じメッセージのページの最後のほうに印象的な記述があります。

持続的な成長のために必要なこと

資本市場において適切な資金循環を促す証券業をベースに、経済の成長や社会の発展に貢献していくことが野村グループの社会的使命です。

 印象的であったのは「資本市場において適切な資金循環を促す証券業」という記述です。つまり、自社がスコープとするのは資本市場であり、証券業とは 適切な資金循環を促すことがベースであると定義しています。

資本市場 - Wikipedia

いわく、資本市場とは「企業の設備資金や長期運転資金などといった企業資本の売買が行われている市場。」であり、それを滞ることなく より円滑に循環するようにすることが主な仕事であると捉えられます。

 

 

今後の展開の妄想

上記の印象的な定義より、信託銀行を配下に持ってはいるものの 預金の受入と資金の貸出を行う銀行業への本格的な進出は あまり考えていないのではないかと推測できます。

全体的に メガバンクとは 考え方違いがあるという印象があります。ストック型のビジネスを伸ばすというところは、銀行のビジネスモデルに近づくようなイメージがありますが、基本的な考え方として「投資を軸に」とあるようにリスクを取っての投資がメインであることが銀行とは違うと考えられます。

そういう意味では、国内トップクラスのアセットマネジメント 子会社を持っていて、運用手段を提供して 収益を取りに行くということもできている面では、特色あるビジネスモデルと考えられます。

また、グローバル展開という意味では 実際に、グループ全体で見たときに ここ数年、足を引っ張ってきたと考えられるリーマン部隊を なんとか黒字化にもってきて、将来的な成長の種にできてきているという面が強みと考えられます。

国内金融機関で、それなりの規模の海外部門を黒字化できているところは少ないと考えられ、日本国内が縮小すると見込まれる中で 今後の世界の成長を取り込んでいけるというのは 大きなアドバンテージである可能性が高いと考えられます。